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脂肪のことを正しく知ることが効果的なダイエットの近道|メディカルアーカイブ

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女性は脂肪がつきやすい?
女性の肥満と脂肪の関係

 女性の体脂肪は男性に比べて高い傾向がありますが、これによって女性特有の美しいボディラインがつくられています。女性の体は出産を第一に考えた構造になっており、体脂肪は女性ホルモンによってコントロールされています。

薬剤師のイメージ <この記事の著者>
 メディカルアーカイブ所属 薬剤師 松田俊浩※
 がむしゃらなダイエットは長続きするものではなく、そもそも脂肪がどのようなものかを知ることがダイエットの近道と言えます。脂肪とダイエットの関係について、わかりやすく解説していきます。

目次


女性は脂肪がつきやすい?

 男性と女性の体を比較してみた場合、決定的な違いは子供を産むか産まないかという事です。女性の体は出産を第一に考えた構造になっており、母体の保護や妊娠中にエネルギー不足にならないように皮下脂肪がつきやすくなっています。

 このため、成人男性の体脂肪率が16〜17%であるのに対し、成人女性の体脂肪率は22〜23%となっています。この皮下脂肪によって成人の女性の体は男性よりも丸みを帯びており、女性特有の美しいボディラインを作っているのです。

 また、女性の体型は年齢によってそれぞれ特徴があり、幼児期、思春期、性成熟期、更年期、老年期といったように体型の区分が男性に比べてはっきりしています。この体型の変化には女性ホルモンが大きく関わっており、それぞれの時期に合った体型づくりを促しています。


思春期の女性と脂肪の関係

 幼児期の頃は男女共に身体的な大きな違いはありませんが、思春期の頃になると女性ホルモンの分泌が盛んになります。女性ホルモンにはさまざまな働きがありますが、脂肪の合成にも深く関わっており、女性ホルモンの分泌が高まるにつれて体脂肪が増加し、女性特有の体型となっていきます。

 この時期から体重が急に増加していきますが、同時に体型を気にする年齢にもなります。この体重増加を「太ってしまった」と考えてダイエットを行う小中学生がいますが、この時期に無理なダイエットをすると女性機能の発達に悪影響を及ぼす事があります。さらに低タンパク、低カロリーの状態が続くと貧血を起こす事もあります。

 特に10代になると精神的にも情緒的にも不安定になりがちなので、周囲の大人たちが女性としての成熟課程である事を説明し、バランスのとれた食事をするようアドバイスをする必要があります。この時期の生殖器の発達不良はその後に悪影響を及ぼす事があります。

性成熟期の女性と脂肪の関係

 20歳から40歳くらいまでを性成熟期といい、女性が妊娠・出産をするために適した年齢となります。この頃から年齢と共に基礎代謝量が徐々に低下していくため、次第に太りやすくなっていきます。多くの女性がこの時期に妊娠・出産を経験しますが、この時期で最も太りやすいのが妊娠中でもあります。

 妊娠中は無意識に食べる量が増えるほか、運動量も低下するために脂肪が必要以上に蓄積してしまいがちです。また、蓄積した脂肪は授乳によって減少しますが、最近では授乳を早めに切り上げてしまうため脂肪が減りにくいという問題もあります。妊娠中は必要以上に食べ過ぎないよう注意し、体重管理をする事が大切です。

 妊娠中に太りすぎてしまうと、妊娠中毒という状態におちいって母体が危険になる事があります。また、性成熟期の肥満は月経不順や不妊症などの原因になる事もわかっています。


更年期の女性と脂肪の関係

 女性の40歳後半から50歳前半までを一般的に更年期といいます。この時期は女性ホルモンの分泌量が低下するために体調が不安定になりがちで、運動不足や過食によって肥満になりやすい時期でもあります。また、運動不足とあいまって基礎代謝も年々低下していくので、食べる量が以前と同じままでも太っていく事があります。

 さらに、更年期以降は特に女性ホルモンの分泌低下が顕著になりますが、女性ホルモンには骨からのカルシウム流出を防いだり、血液中のコレステロールを減らしたりする働きがあります。そのため、女性ホルモンの分泌量低下によってカルシウム不足による骨粗しょう症や、血中コレステロール増加による動脈硬化が進行する恐れがあります。

 肥満は動脈硬化の危険因子にもなりますので、自分の体力を考慮した上で日常生活の中に積極的に運動を取り入れるようにしていくことが大切になります。

月経周期と体重変動

 「生理前は太りやすい」と感じた事はないでしょうか?成人女性の体重は月経周期の中で太りやすい時期と痩せやすい時期があるといわれています。これは月経周期の中で起こるホルモン分泌によるものです。

 月経周期には低温期と高温期があり、この2層の体温期で1サイクルとなっています。月経から排卵までは体温が一般的に36.7度より低い傾向にあり、この時期を低温期といいます。この時期はエストロゲンと呼ばれるホルモンが盛んに分泌されています。

 一方、排卵後は体温が上昇して高温期に入り、プロゲステロンと呼ばれるホルモンが盛んに分泌されるようになります。このホルモンの働きによって子宮壁が厚くなり、受精卵が子宮に着床しやすい状態になるのです。

 しかし、受精卵がない場合はプロゲステロンの濃度が低下し、厚くなった子宮内膜は月経血として流れ落ちます。このプロゲステロンは女性の体に水分をため込ませて筋肉を柔らかくする働きがあるため、この時期は体重が増加しやすい傾向になります。

 ダイエットをしている女性はこの時期に体重が減らない事を悩んだりしますが、このようにホルモンの働きで体重が増加しやすい時期であるので、この時期に体重が増加しなければダイエットが順調に進んでいると考えてよいでしょう。


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